top of page

回復を速めてくれたものたち① 精神科のお薬

更新日:2020年5月26日


ヘルシンキの精神科病院跡にて
ヘルシンキの精神科病院跡に展示されていた、薬の空き容器でできた王冠(2017年6月)

以前、「回復を加速してくれたものたち22選」という記事を書きました。


今日はその中から、1.精神科のお薬について詳しく書きます。



精神科の薬はリカバリーの基礎


私にとって精神科のお薬とは、生きづらさからの回復のための準備を整えてくれた存在でした。


家を建てることに喩えると、お薬は「ぬかるんだ地盤を改良する工事」のようなものです。


地盤を改良すると、水はけが良くなり、地盤が固くなり、しっかりした基礎を打つことができるようになります。


当たり前のことですが、ぬかるんだ地盤のような精神状態や健康状態では、しっかりとした家を建てることができません。


残念なことは、「精神科」に対するネガティブなイメージが、この重要な「地盤改良工事」を敬遠させる一つの理由になっているように思われることです。


幸いなことに、私自身は精神科医療機関で働いていた精神保健福祉士なので、精神科にかかることや、お薬を飲むことについては、さほど抵抗感はありませんでした(むしろ、ちょっと興味がありました)。



基礎工事は家を建てるため


注意しておきたいのが、精神科のお薬では「生きづらさ」そのものは解消しないということです。


お薬を飲むだけで幸せになれるわけではないし、お医者さんが私たちを幸せにしてくれるわけではないということです。


地盤改良工事をしても家自体は建たないのと一緒ですね。


また、すでに地盤が改良されているにもかかわらず、いつまでも地盤改良工事をし続けることも避けたいところです。


これらのことをしっかり理解して必要十分に活用することが、精神科のお薬という素晴らしい「武器」との付き合い方のポイントです。



精神保健福祉士、服薬する。


私が精神科のお薬を使っていたのは、2008年7月から2015年9月までです。精神科のクリニックに通院していた時期もほぼ一致します。



2008年当時、私には以下のような症状がありました。


・入眠困難(なかなか眠れない)

・浅眠感(寝た感じがしない)

・早朝覚醒

・日中の眠気

・イライラ・怒りなどの気分変調

・飲酒習慣の悪化(量が増える、正体をなくす、休みの日は朝から飲む)


ちなみに、当時は娘が生まれたばかりで、夜泣きやミルク対応のために十分な睡眠を取りづらい状況にありました(ほとんどは当時の妻がしてくれていましたが…)。また、一緒に暮らしていた猫が早朝にご飯を要求しに来て起こされる、といったことも私の睡眠の質に影響していました。


以上のような症状があったので、私のためにお医者さんが処方してくれた薬は主に睡眠を取れるようにするものでした。当初のラインナップを書いておきます。


・眠る前の緊張をとる薬(気分も落ち着く)

・ガッと寝入らせる薬

・気分を落ち着かせる薬


「ガッと寝入らせる薬」としていわゆる「メジャー」と呼ばれる強い抗精神病薬が出たときは、さすがに少し驚きました。


確かに「ガッと寝入らされ」ましたが、翌朝から昼間(つまり、働いている時間帯)の頭の中のしんどさには参りました。頭の中の高速回転する石臼に急ブレーキをかけ続けられているような感じがしました(その状態で人の相談にのるのは大変でした)。


ただ、「頭の中で石臼が高速回転している」こと自体が「ちょっとまずいな」という自覚はありましたし、薬が効いて眠れてもいましたので、しばらく飲み続けることにしました。


その後、2010年ごろからでしょうか、「ガッと寝入らせる薬」なしでも段々と眠れるようになってきました。「寝る前の緊張をとる薬」だけで眠れるようになったわけです(もちろん、この背景には、薬以外のさまざまな回復方法を実践していたことの効果もありました)。


そこで、お医者さんと相談しながら減薬を開始し、最終的に飲むのを止めました。2015年9月のことです。服薬開始から7年以上が経っていました。


(余談ですが、「気分を落ち着かせる薬」については、結果的に「必要なかった」と思っています。この薬は当時の暫定的な診断にもとづいて処方されていましたが、私は、結果的にはその診断は私にはあてはまらなかったと思っています。)



お薬で「束の間の冷静さ」を確保しよう


いずれにせよ、精神科のお薬はとにかく私を眠らせてくれました。


また、自分では止められなくなっていた頭の回転や感情に、強制的にブレーキをかけてくれました。


眠れるようになり、気分も少し落ち着くと、周りのことが少しだけ見えるようになります。


ただし、パートタイムで(笑)。


その「束の間の冷静さ」を活用して、回復のための他の様々な方法を実行することになります。


もちろん、当時の私には「生きづらい理由」や「これをこういう順番でやれば確実に楽になる」という道筋(パス)は見えていませんでしたので、心や体に良さそうなものを一つ一つ試していきました。


今なら、何をどうすればいい(よかった)というのは分かりますので、このブログを通して、それを皆さんにシェアしたいなあと思います。



それでは、今日も読んでいただいてありがとうございます。


明日もうれしいこと楽しいこといっぱいあるといいですね!








前の記事を読む:他者の幸せを祈る①

閲覧数:69回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page